森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

水すまし水面に映る空に立つ ~7月俳句tweetより~

台風7号が近畿地方を直撃、東海・西日本各地に大きな被害を与えています。わたしの住む神戸は今日15日の午後くらいから風雨はやや治まってきたように感じます。ですが、我が家は六甲山中にありますので、長時間降り続く雨による土砂災害の危険も残り、ま…

蟻地獄八つ九つ小蟻来る

Twitter(X?)では書きましたが、7月下旬の十日ほど手術入院をしていました。数年前から、雑巾を絞るような動きをすると左手親指の付け根辺りに激しい痛みを感じることがあり、年々その痛みが強くなってきたので、今回手術を受けることにしたのです。母指C…

あの人が来るまでそこで虹のままで ~6月俳句tweetより~

すでに7月になっています。前回の投稿が4月1日でしたので、3カ月経ってしまっています。サボってばかりで申し訳ありません。この間、体調を崩したとか、仕事が忙しくなったとか首になったとか、日常に大きな変化があったわけではありません。以前と変わ…

凍つる空信号の赤明滅す ~俳句tweetより~

今回は1月9日から1月13日までのtweet句です。2023年詠み始めの句は以前の記事に書きましたが、俳句tweet記事の方では、今回ようやく2023年が始まりました。相変わらずのぼちぼち更新です。申し訳ありません。気長にお付き合いくださいますよう…

今日の日もいつか昔に夏岬 ~旅行に行きたい!⑧~旅行二日目その3(碁石海岸・大船渡温泉)

旅行二日目8月23日14時半です。今回の記事は旅行二日目その3、碁石海岸・大船渡温泉編です。この日の移動はレンタカーを使っています。16時までに大船渡・盛(G)でレンタカーを返却しないといけないので、駆け足で回っています。気仙沼・津波伝承館(S)…

数へ日や明日終はるかも知れぬのに ~俳句tweetより~

2月は記事の更新サボってました(^^;ぼちぼち再始動したいと思います。どうぞよろしくお願いします。 前回の記事 陽だまりに手袋の手を翳す朝 ~俳句tweetより~ - 森の奥へ で触れたコンビニ強盗捕まったそうです。店や周辺の防犯カメラの映像などから逮捕…

位置について。用意、ドン。

私は走っている。生まれたときから走っている。おそらく、生まれてくる前も走っていたはずだ。死んだあともまだ走っている気がする。私は走っている。眠くてたまらないときも走っている。眠らずに走っている。眠りながら走っている。走りながら眠っているの…

陽だまりに手袋の手を翳す朝 ~俳句tweetより~

朝月夜コンビニレジで大あくび 前回の記事に載せた俳句です。わたしの毎朝の通勤路にあるコンビニでのエピソードを詠みました。実は数日前、このコンビニに強盗が入りました。 60代ぐらいの男がレジにいたアルバイト店員の女性(67)に包丁のようなもの…

落つる葉をただ眺めゐる烏かな ~俳句tweetより~

今年は1月9日が成人の日です。新成人は341万人になるそうですが、 2022年年4月1日、成年年齢を18歳に引き下げることを内容とする、民法の一部を改正する法律(平成30年法律第59号。以下「改正法」)が施行され、経過措置により、施行日時点で18歳以上20歳未…

我が家の独立宣言 (創作短編小説)

我が家の独立宣言 by 摩耶摩山猫 始まりは浴室だった。ある日、我が家の浴室はわたしからの独立を宣言したのだ。ある蒸し暑い夏の夕方のことだった。 仕事から帰宅すると、寝室とリビングダイニングのエアコンをONにして、全部の部屋が冷えるのを待ちながら…

年新たすべて新たに世界中 ~俳句tweetより~

2023年あけましておめでとうございます。みなさまにとって、世界中の人たちにとって、より良き年になりますように。 年新たすべて新たに世界中 写真はわが家の近くで撮った初日の出です。神戸の日の出は7時6分のはずでしたが雲に隠れて見えず。7時10分…

高台へ屋上へ走れ春怒涛 ~旅行に行きたい!⑦ 〜旅行二日目その2(気仙沼・津波伝承館)

旅行二日目8月23日です。今回の記事は旅行二日目その2、気仙沼・津波伝承館編です。この日の移動はレンタカーを使っています。16時までに大船渡・盛でレンタカーを返却しないといけないので、駆け足で回っています。厳美渓(一関市)を出たのが10時半。気…

数へ日を数へる今日の空の青 ~俳句tweetより~

数へ日を数へる今日の空の青 2022年詠み納めです。 記事の更新がカレンダーに追いついていませんが、今年も残りあと数日になっています、、、という、その年の残りの日数を数えるところから「数え日」という季語があります。前回の記事で 数へ日や明日終はる…

旅行に行きたい!⑥ 稲の波寄せては返す千年余~旅行二日目その1(骨寺村荘園遺跡・厳美渓)

2022年も残り数日になってしまいました。俳句の季語ではこれを「数へ日」と言います。残り数日と思うと、なんとなく落ち着かない気分になってきます。 数へ日や明日終はるかも知れぬのに 山人 「旅行に行きたい!」はまだ8月です。今回の記事は旅行二日目そ…

風止んで星の流るる音聞こゆ ~俳句tweetより~

クリスマスを意識した最初の記憶は、プレゼントをもらうには靴下が必要らしい、とイブの日に幼稚園の友達から聞いたことでした。数十年前のことです。早速その夜は、靴下を枕元に置いて寝ることにしました。どこに置けばいいのかまで友達は教えてくれなかっ…

見上ぐれば星流れゆく吾の先へ ~俳句tweetより~

今回の記事の冒頭に、不可思議/wonderboy のことを少し書こうと思って書き始めたら、ちょっと長くなってしまったので別記事にしました。もし興味がおありでしたら、そちらもお読みください。 www.keystoneforest.net 今回は11月7日から11月11日までの…

不可思議/wonderboy の Pellicule ~だから今日は戻らない日々を思い出して笑おう~

以前にも触れたことがありますが、NHKラジオ『高橋源一郎の飛ぶ教室』を毎週欠かさず聴いています。源一郎さんに今回の放送で教えてもらった歌に心を強く揺すぶられたので記録しておきたくて。 www.youtube.com 不可思議/wonderboy の Pellicule という歌で…

星月夜ピアスの君に触れられず ~俳句tweetより~

映画を2本観ました。映画館で、です。『すずめの戸締り』と『THE FIRST SLAM DUNK』の2本です。どちらもとっても面白かったですが、より楽しめたのは後者でした。山王工業戦の最終盤で交代を告げられた桜木が安西監督に叫んだセリフ。 「オヤジの栄光時代…

見ないんじゃなくて忘れてるだけ

――夢をあまり見ない方です。 人にそう言うと、見ないんじゃなくて見た夢を忘れてるんですよ、と正されます。夢を見るのはレム睡眠のときなんだそうで、レム睡眠は約90分周期で訪れます。ですので、誰でも一晩で3回から5回は夢を見ていることになるんですよ…

秋晴れや流るる雲の軽さかな ~俳句tweetより~

今回は10月24日から10月28日までのtweet句です。どうぞよろしくお願いします。 秋暁の照らす頬だけ温かい すっかり秋めいた風が初めて吹いた朝。天気予報見てなくて、夏のシャツを着て家を出てきてしまいました。涼しくて良い感じ。いえ、でも、ちょ…

わたしは何を見ればいい?

目を信じてはいけない、見ているものが宇宙のすべてだと思ってはいけない、真実だと思ってはいけない。見ているのに見えていないものがある。たぶん、そんなことはみんな知っているはず。でも、すぐにそれを忘れてしまう、勘違いしてしまう、目を信じてしま…

「元気出せ」どんぐり一つ転がり来 ~俳句tweetより~

今回は10月17日から10月21日までのtweet句です。どうぞよろしくお願いします。 仔猫鳴く空いつぱいの鰯雲 この記事を書いている今気づきました! 「鰯雲」を季語にして詠んだつもりでしたが、、、「仔猫」も季語でした。しかも春の季語です。猫の子…

旅行に行きたい!⑤ ~旅行一日目その4(達谷窟毘沙門堂・瑞泉郷へ)

旅行一日目8月22日。午後4時頃です。前回は中尊寺観光を終えたところまで。今回の記事は旅行一日目その4、達谷窟毘沙門堂・瑞泉郷編です。私的な旅行の記録としてまとめていますので、引用や個人写真が多くて読みづらくなっている点は、どうぞ了承くださ…

それでも生きている。

今回の記事に深い意味はありません。 何かのメッセージでもありません。 山猫のつぶやきです。ただそれだけです。 考えるから生きづらくなる。 生きるということは、多分生きると考えないこと。 朝起きて水を飲んで、食べられる物があればそれを口にする。そ…

吾に似たる人影伸びて秋の夕 ~俳句tweetより~

今回は10月10日から10月14日までのtweet句です。どうぞよろしくお願いします。 布団着て丸める背中今日休む 布団はバリアです。レーザー光線を跳ね返すバリアもあれば、寒さを防ぐバリアもあります。目覚まし時計の音や、起床を促す家人の声を跳ね返…

歩いても歩いても虫鳴く夜や ~俳句tweetより~

8月22日から9月30日までの6週は、この間に行った東北旅行(岩手方面)から題材をとった句を詠みました。10月からは元の形、その日その日に感じたこと出会ったことを題材にして詠む形に戻りました。戻りましたが、、、いつもと変わらない日常のなか…

青を待つ数十秒の蝉時雨 ~俳句tweetより~

11月になりました。今年もあと2か月足らずです。ですが、今回は8月15日から8月19日までのtweet句です。まだ蝉時雨を詠んでいます。相変わらず季節感がなくてごめんなさい。どうぞよろしくお願いします。 青を待つ数十秒の蝉時雨 信号待ちです。ハイ…

まだこんなところにいます夏の雲 ~俳句tweetより~

今回は8月8日から8月12日までのtweet句です。まったく季節感が伴わない句ばかりで申し訳ありません。どうぞよろしくお願いします。 少年の日の蝉時雨今朝も聞く 森の奥で暮らしていた少年の日に聞いた蝉時雨はとても優しくて、森の木陰で涼みながら友達…

木影踏み右へ左へ蝉時雨 ~俳句tweetより~

「~俳句tweetより~」の記事、今回は春から夏にかけて、あちらこちらで呟いたtweet句です。tweetしてから時間が経ちすぎていて季節感ありませんが、どうぞよろしくお願いします。 菜の花の花の数だけ温かい 4月3日の句です。菜の花の花はどの花を言うので…

不快な存在 (創作短編小説)6/6

連載6回目、最終回です。前回まではこちらです。 www.keystoneforest.net www.keystoneforest.net www.keystoneforest.net www.keystoneforest.net www.keystoneforest.net 秋山はセカンドバッグを片岡の前に置くと、深々と頭を下げた。その中に秋山の全財…