森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

幸せの定員 (創作小説)  ***-0.5*** 貧乏な人とは、少ししか持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ

幸せの定員(創作小説) ***-0.5*** 検査入院をする母に付き添ったときのことです。検査入院ですから、どこか体調が悪いわけではなくて、検査後を安静に保つための入院です。その夜一晩を病室で過ごせば翌朝には退院できます。病室は4人部屋、母の…

幸せの定員 (創作小説)  ***-1***

幸せの定員(創作小説) ***-1*** バスは民家の軒先をかすめるようにして器用に狭い道を走り抜けていく。 農協下、役場前、中央通東口、中央通西口……。ほんの数百メートルおきにある停留所に、バスは生真面目に停まって走る。 停留所のベンチに老婆…

幸せの定員 (創作小説)  ***-2***

幸せの定員(創作小説) ***-2*** 「ねえねえ和くん」 食事の手を止め、妻の佳恵が声をかけてきた。佳恵は結婚して半年が過ぎた今でも、大学で知り合った頃の言い方のままで和幸を呼ぶ。 ダイニングにはテレビを置いていない。食事しながらテレビは…

幸せの定員 (創作小説)  ***-2.5*** 幸せって「ポンと生まれたシャボン玉」かも知れへんな

幸せの定員(創作小説) ***-2.5*** 幸せってなんだっけなんだっけ♪ 1986年CM キッコーマン ぽん酢しょうゆ 明石家さんま ぽん酢しょうゆのある家さ♪ぽん酢しょうゆはキッコーマン♪ぽん酢しょうゆはキッコーマンキッコーマン♪ と続きます。 30年以…

幸せの定員 (創作小説)  ***-3***

幸せの定員(創作小説) ***-3*** バスの揺れに合わせて乗客が揺れる。車窓に映る景色も同じように揺れる。上に下に、左に右に。大きく、小さく。 シャーシが軋む音と整備の悪い道の具合からすれば、そのバスはおそらくかなりのオンボロで、たいてい…

幸せの定員 (創作小説)  ***はじめに***

長らくぶりの更新です。 ご無沙汰しています。 前回、記事を投稿したのが7月の初めでした。 猛暑の夏はとうに過ぎ、季節はすっかり秋です、、、 と、二か月ほど前に書き始めましたが、何度か書き直しているうちに、もう冬です。 お変わりなくお過ごしでしょ…

ブロガーバトン繋ぎます

6月20日、たよらこ (id:tayorako)さんからブロガーバトンを受け取りました。 たよらこさんは、花咲き誇るお庭のことやお料理のこと、子育てや教育のことなどを話題にした複数のブログを運営されていらっしゃいます。 ときどき書かれるブログ作成やメンテ…

コロナ禍の最中で誠実であり続けるということ **ブックマーク・ツイートから** 山猫ノート28

6月1日から神戸では学校が再開します。 しばらくは分散登校ということで、週に何日かだけの登校になります。 と、5月のうちに書き始めましたが、いつものように書いてはやめ、読み返して書き直し、また少し書いてやめ、また読み返して書き直し、、、を繰…

新月の夜に夢を声に出して明らかにするとその夢は叶うらしい。

少し前のことです。 夢を見ました。 普段あまり夢を見る方じゃないです。 夢の中の出来事は詳細が分からないことが多いのです。 ですので、事情は忘れてしまいましたが、一通の封筒が机の上に置いてあって、それをひっくり返すと中から500円玉が一つと10円玉…

学校が大好きなあなたたちへ

1月は行く、2月は逃げる、3月は去る。 あっという間に過ぎてしまう3学期のことを、学校の先生はよくこんなふうに表現します。 いつもは逃げ足が速い2月ですが、今年は閏年、29日までありました。 ですから、例年より1日長い3学期になるはずでした。…