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『震災通信』後記1/5~『震災通信』後記3/5の記事は、阪神淡路大震災から10年近く経った2004年11月10日発行の同人誌に掲載したものです。今日は2021年3月12日。『震災通信』を書いてから、さらに16年あまりが過ぎました。
その間に、大きな被害をもたらした地震だけでも
2011年3月11日東日本大震災最大震度7、死者・行方不明者約2万2000人
2016年4月14日熊本地震前震、最大震度7
2016年4月16日熊本地震本震、最大震度7、前震を含めて死者273人
2018年9月6日北海道胆振東部地震、最大震度7、死者42人
2021年2月13日福島県沖地震、最大震度6強、死者1人
などが、この国を襲いました。
つい先日起きた2021年2月13日の福島県沖地震は、東日本大震災の余震だと言います。日本の観測史上最大規模の東日本大震災はいまだに活動を終えていないということです。なんと不気味なことでしょう、、、
2018年6月18日大阪府北部地震、最大震度6弱、死者6人 では、神戸も大きく揺れました。そのときのことを記事に書きました。
地震が発生した7時58分、当時大学1年生だった長男Mは通学の途中。JR大阪駅のホームで電車を待っているときでした。大きな揺れのあと、すべての電車が止まってしまい、彼は大阪の街のど真ん中で、そこから先へも後ろへも、どこにも動くことができなくなり、電車の運行再開を待つことになりました。電車が再び動き出したのは、阪急梅田駅の改札前で待ち続けて7時間後のことでした。
今回、『震災通信』をカレンダー通りにブログ記事として掲載するうちに、わたしの心は日記に残さなかったことも思い出しながら、26年前のあの頃に遡っていくことができました。
長い時間が経ってから振り返ると、当時の自分を客観視できるものですね。その「当時の自分」と会話しているような不思議な気分を少し味わうことができました。そして、今の自分がどんなふうに変わったのかも、感じることができた気がします。
さて、震災直後のNHK総合テレビの放送記録を見つけました。
NHKアーカイブスに保存された番組の情報「NHK番組表ヒストリー」です。
1995年01月17日(火)の朝に速報で伝えられた地震報道の記録を 地震情報 | 番組表検索結果詳細 | NHKクロニクル から引用して紹介させていただきます。
午前05:51~午前05:55
村上 信夫(※山猫注;アナウンサーの方のお名前だと思います)
「近畿地方に強い揺れ津波に注意、震度4 四日市・福井・上野・岐阜・敦賀・津ほか」
※5:48頃 東海地方から近畿・四国地方の広い範囲で強い揺れ
(前5:53.30)
各地の震度:震度5 彦根・京都・豊岡
震度4 大阪・徳島・高松・姫路・岡山・鳥取・津山・和歌山ほか
午前05:55~午前06:19
(前5:58.00)テロップ表示を5:46頃地震発生と訂正
( 6:00.30)震度6:神戸という情報(アナコメント)(画面には出ず)
( 6:01.10)大阪局スタジオ
地震直後の映像(大阪局報道部)
震度5 彦根・京都・豊岡ほか
5:51に気象庁発表、津波の心配なし
6:03.20 震源地は淡路島、
震源の深さは20キロ、
マグニチュード7.2
( 6:04.00)東京スタジオ
6:04.30 津波の心配なし
<G-S1-S2スーパー>
( 6:04.50)神戸電話リポート
(住田アナ自宅からリポート)
被災地状況
関 規夫(神戸局)記者リポート
( 6:09.05)東京スタジオ
6:10.30 大阪局・天カメ中継
( 6:12.15)大阪スタジオ
高速道路通行止め
大阪住之江区内、火災発生らしい
( 6:13.00)東京スタジオ
近畿地方への電話は控えてください
( 6:15.35)神戸・震度6が確認されました
( 6:17.34)京都スタジオ
京都局内映像(5:47すぎの映像)
名神入口通行止め
午前06:19~午前06:25
( 6:19.51)大阪スタジオ
地震直後の大阪局報道部内の映像
JR情報
全ての阪神高速道路通行止め
大阪・コンビニエンスストア映像
JR新大阪駅停電、新幹線ストップ
( 6:24.07)東京スタジオ
6:24.20 震度6:神戸
震源地:淡路島を震度図に表示
午前06:30~午前06:50
( 6:30.00)東京スタジオ
( 6:31.00)大阪スタジオ
各地の震度(繰り返し)
JR新大阪駅、停電のため新幹線運転見合わせ
京都局からリポート
大津市内ガスがストップ
奈良局からリポート
( 6:41.50)東京スタジオ
( 6:42.30)広島スタジオ
( 6:44.20)東京スタジオ
6:44.42 神戸局電話リポート・火の手が7か所見える・風はない
( 6:47.40)名古屋局リポート
福井局、地震直後の映像
( 6:49.00)東京スタジオ
※視聴率(ビデオ・リサーチ)
関東 5:50-7:00 6.9%
関西5:49 6.7%
5:51 33.0%
6:25 36.2%
6:30 41.9%
6:50-7:00 43.4%
神戸の震度6がはっきりと確認されたのが6時15分です。地震の発生から29分後のことでした。この点だけみても、どれだけ混乱していたか、想定外のことだったかが、よく分かります。
あの朝7時頃、NHKだけに限っても、この国の4割ほどの人たちが阪神淡路の状況を注視していたようです。民放も加えると、この国の半数以上の方々がテレビ報道を観ておられたことでしょう。
あの朝7時頃、わたしは何をしていたでしょう。壊れた自宅の玄関から外に出て、ぺしゃんこに潰れた家の瓦や屋根板を掘り起こしていた頃だったかもしれません。
何が起こったのかすぐに理解できず、とにかく逃げるために、生きるためにどうすればいいのか、情報に一番飢えていたわたしたちは、テレビをつけることも観ることもできず、震源地も震度も火災の発生も交通途絶の状況も一切何も知らず、ただただ目の前にある非日常に振り回されるばかりでした。
つくづく生きていることの奇跡を思います。
※下のリンクは震災当日の記録です。