森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

Tsundoku ~読まない読書もある~

読まないままに放っている本が、自室の本棚に百冊はある。いや、ひょっとしたら数百冊を優に超えている。机の上にも平積みで何十冊かある。なのに、書店で興味を惹かれるタイトルの本を見つけると、それを手にレジに並んでしまう。メルカリの「購入画面に進…

こころはきっとわたしの身体の外にある

「死」について、猫も考えていますよね。きっと、絶対。いえ、考えてなくても、感じているはずですよね。ずっと傍で暮らしていた猫の匂いやモフモフや足音や鳴き声や寄り添ったときの身体の温かさを。それらを感じられなくなったときの寂しさを。 花は陽の当…

白猫🐾さんのこと、繋がっているということ

アガパンサスの花を見ると思い出す人がいます。と言っても、色っぽいお話じゃないです。 久しぶりに書きます。というか、久しぶりにブログを書きます。毎日何かしら文章は書いていますが、はてなブログを書くのにはパワーがいるので、ブログ用のパソコンをし…

明けない夜もある

明けない夜はない 座右の銘を訊かれると、いつもこの言葉を応えてきました。どんなに辛い状況であっても、延々とそれが続くことはない。いつかきっと穏やかな朝を迎えることができるはず。辛い状況を乗り切れるヒントをそのうち思いつくかもしれないし、自分…

三角瓜の実る郷 (創作短編小説) 6/6(最終回です)

連載6回目、最終回です。小説連載ですので、途中からご訪問くださった方は、よろしければ下のリンク(第1回)からお願いします(^_^) www.keystoneforest.net * 「──夢はいつもそこで終わります」 店内はすっかり静寂に包まれていた。マイルス・デービスは…

三角瓜の実る郷 (創作短編小説) 5/6

連載5回目です。小説連載ですので、途中からご訪問くださった方は、よろしければ下のリンク(第1回)からお願いします(^_^) www.keystoneforest.net 『瓜』の家の墓地では、祖父の三角瓜が一際目立っていました。一升瓶の倍近くの高さがあって、他より一回…

三角瓜の実る郷 (創作短編小説) 4/6

連載4回目です。小説連載ですので、途中からご訪問くださった方は、よろしければ下のリンク(第1回)からお願いします(^_^) www.keystoneforest.net * 囁くような小さな音が聞こえます。白い靄のようなものが辺りに立ち込めています。その中に私の身体は…

三角瓜の実る郷 (創作短編小説) 3/6

連載3回目です。小説連載ですので、途中からご訪問くださった方は、よろしければ下のリンク(第1回)からお願いします(^_^) www.keystoneforest.net * 客の男は煙草は吸わないらしい。口寂しそうに爪を噛んでいる。私はナッツをいくつか小皿に盛って男の…

三角瓜の実る郷 (創作短編小説) 2/6

連載2回目です。小説連載ですので、途中からご訪問くださった方は、よろしければ下のリンク(第1回)からお願いします。 www.keystoneforest.net * 私は山歩きが趣味でして、お盆休みを利用して毎年あちらこちらの山へ登るのを楽しみにしています。いえ、…

三角瓜の実る郷 (創作短編小説) 1/6

『森の奥へ』へお越しいただきありがとうございます。いつもは、山猫のつぶやきあれこれを掲載していますが、今回は小説創作です。今回の創作短編小説『三角瓜の実る郷』は原稿用紙換算で55枚くらいになります。1記事あたりの分量としては多いと思います…