森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

明けない夜もある

 
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明けない夜はない

座右の銘を訊かれると、いつもこの言葉を応えてきました。
どんなに辛い状況であっても、延々とそれが続くことはない。
いつかきっと穏やかな朝を迎えることができるはず。
辛い状況を乗り切れるヒントをそのうち思いつくかもしれないし、自分で思いつかなくても、いつか誰かが教えてくれるかもしれないし、そのどちらでなくても、時間が解決してくれるかもしれないし、、、
だって、夜は絶対に明けるんだから。

そんなことを思って、そう信じて自分を励まして、ここまでこれました。

シェークスピア『マクベス』が出典だそうです。
原文は "The night is long that never finds the day." とのことですから、「明けない夜はない」と訳した人のセンスに痺れます。

話はそれますが、アメリカのロックバンド・シカゴが1982年に発表した "Hard to Say I'm Sorry" の日本語タイトルは「素直になれなくて」でした。この訳も心に響きます。
このタイトルのおかげで、大切なものを失くしてしまうかもしれない切なさが、殊更に引き立てられたと思います。

大好きな曲です。
思い出して久しぶりに聴き直しました。
この曲が日本でもヒットした頃、わたしは就職浪人中でした。
お昼近くまで6畳一間のアパートで寝て過ごし、目が覚めると朝食兼昼食を食べ、昼の2時3時頃レンタルレコード屋に出かけて洋楽のレコードを物色し、何枚か借りて帰ってカセットテープにダビングし、夕方近くになったら家庭教師のアルバイトに出かけました。
家庭教師先で夕食をいただいて、数学の勉強をその家の子供と一緒にし、9時過ぎくらいにアパートに帰ってきて、銭湯に行き、寝るのは朝の3時か4時か、それくらいでした。
中学校の数学の解き方を説明する以外は誰とも話さず、音楽を聴いて、レポート用紙に小説の断片をぽつぽつ書いて、ただそれの繰り返しで日々が過ぎていきました。


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当時の音楽はレコードでした。
シングル盤とアルバム盤があって、アルバムはLPと言いました。
LPをレンタルしてきてカセットテープにダビングし、何度も何度も聴きました。

やがてすぐにLPはCDに変わり、音楽は小さくなりました。
そしてそのうち、CDをパソコンで取り込んでデータに変えて持ち運ぶようになりました。
音楽の形が見えなくなってしまいました。
今やその音楽データはネットから配信され、持ち運ぶ必要さえなくなってしまいました。

 

素直になれなくて

"Hard to Say I'm Sorry" が原題通りだったなら、それほどこの曲に惹かれなかったかもしれません。
だって、「ごめん」は時々言える。
言葉だけだったら、考えれば言える。
でも、素直にはなかなかなれない。
素直は頭で考えて作れるものじゃないから、、、
そんなことを思ったりもしました。
ですが、そんなことを思ったからと言って、素直な人になれたわけじゃないですが(^^;

そして、
学生でもなく、社会人でもない。
そんな宙ぶらりんだった当時の自分に、前に進む力をくれた言葉が「明けない夜はない」でした。

 

最近、こんなことを思います。

近いうちに、明けない夜が来るんじゃないかって。

夜は間違いなく明けるはずです。
太陽が燃え尽きない限り、地球が自転をやめない限り。
そんな天文学の話じゃなくて、その必ず訪れるはずの朝に、わたしが出会えなくなる日が、そう遠くない先に待っている、と。
これは生物学の話でしょうか。


明けない夜もある

わたしは今、この言葉を座右の銘にしようと思っています。

明けない夜はないと思う気持ちは、次の日の朝を二万数千回以上迎えてしまったわたしには、もう当たり前のことになってしまっています。
ですから、今日のことを明日に預けても、全然平気になってしまっています。

それで良かったっけ?

明けない夜はないと信じる気持ちは、夜が永遠に続くんじゃないか、という不安に押しつぶされそうになっていた自分を励ます言葉だったはず。

なのに、夜が明けるのは当たり前───

それで良かったっけ?

最近になってようやく、わたしはそんなことを思うようになりました。
ちょっとこの辺で、考え直した方がいいかもしれない。
考え直さないといけないのかもしれない。

新しい朝を迎えるたびに、ああ、明けて良かった。
今日のこの日を大切に生きよう。
ありがとう。

今こそ、素直に、そんなふうに言えるようになりたい。

そう思っています。

 

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そうそう、思い出しました。

 

雲の上はいつも晴れ

 

この言葉も大好きです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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山猫🐾@森の奥へ

似顔絵はバリピル宇宙さん (id:uchu5213)に描いていただきました。