森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

震災通信(阪神淡路大震災体験記) ***9日目(1月25日)***

 
f:id:keystoneforest:20170801214436p:plain

 

 

 

 26年前、わたしは神戸市兵庫区で震度7の揺れを経験しました。その記憶を日記とパソコン通信のログとで振り返っています。あの日から9日目です。この日から兵庫区役所への応援出務となりました。

 

 

1月25日(水)
 本日より兵庫区役所に出務。家から歩いて5分だ。9時区役所に集合。地震後の交通手段が寸断された中で、歩いて通勤できるこの環境は恵まれすぎ、というしかない。
 南蛮美術館
(※中央区、本来の勤務地)は市の総務局(※仮称です)の一部署なので、僕も身分上はその所属になっている。その総務局から兵庫区役所に派遣された応援職員は、(N芝、Y田、M上、わたし)チームと、(Y村、T井、T田、D東)チームの二班に分かれる。この二班で24時間交替。係長のN芝さん以外は二十代から三十前後くらいか。他のメンバーはみんな本庁(※市役所)の職員なので、面識のある人はいない(※わたしの勤務地・南蛮美術館は本庁からの出先機関でした)
 午前中、物資の搬入とその在庫確認作業。
 午後、被災状況調べ。M上さんとペアを組んで須佐野
(※兵庫区南部)方面の家屋調査にあたる。互いに初対面で、仕事の内容も初めてだし、土地勘もないところなので、まずはあれこれ世間話をする。上背があり、飄々としたタイプ。
 19時頃帰宅。
 母、救援物資のビニールシートを大量に持ち帰る。
 昼、I淵
(※高校時代からの友人)より電話があったらしい。
 夜、因幡さんにメールする。

 

 #山猫        M*I00*04 95/01/025 20:55
題名:いよいよ仕事です
 本日(25日)より、兵庫区役所出務
 ということになりました。
 期間はとりあえず災害復旧まで、
 ということになりそうです。
 1,2ヶ月くらいではないか、という話です。
 明日から、24時間勤務になります。
 今日の様子では、救援物資の搬入、搬出という
 力仕事が主なものでした。
 救援物資は驚くほどたくさんあります。
 ところが、なぜかこれらの物資が各避難場所には
 行き渡っていないのです。
 人数分確保できていない、
 というのが理由のようです。
 応援に招集された職員達はみんな指示を待っています。
 地震発生以来働きづめだった兵庫区役所職員の交代要員
 というのが、我々の任務なのですが、
 いつまでたっても指示は出ません。
 待ち切れずに仕事を要求しました。
 結局、午後からは区内を歩いて回って、
 各建物の被災状況をチェックすることになりました。
 デスクワークでなまった身体には、
 ちょっとハードでした。
 今から寝ます。

 

  

f:id:keystoneforest:20210124110307j:plain

当時の兵庫区役所(左下1階部分は兵庫消防署)

現在、区役所はこの建物の南側に移転し、この場所には兵庫消防署が建設中です。

 写真の建物(旧兵庫区役所)の地階に兵庫公会堂があり、区役所に届けられた救援物資はそこに集められていました。公会堂には救援物資が山積みされていました。
 ところが、救援物資が届いても、避難所の方々全員に行き渡る数がそろわないと配れない。なので、物資があっても配れない。その上、賞味期限が切れてしまったものは配れない。そんな状況だったと思います。

 わたしはこの日から1か月ほど、兵庫区役所で勤務することになりました。 

 

 

 ※下のリンクは震災当日の記録です。 

www.keystoneforest.net

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
 
よければtwitterものぞいてみてくださいね。山猫 (@keystoneforest) | Twitter
 

f:id:keystoneforest:20180211232422j:plain

イラスト/バリピル宇宙さん (id:uchu5213)