森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

震災通信(阪神淡路大震災体験記) ***3日目(1月19日)***

 
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1月19日(木)
 昼前に家を出て、自転車で海星病院
(※灘区)に向かう(※家から約8.5㎞)。母が移動用に使う自転車を届けるためだ。途中、職場(※南蛮美術館)に立ち寄る。そこで昼食をとりテレビを観る。ずいぶん長く観ていなかった気がする。思えば地震からまだ3日目だ。
 病院からの帰路、K芝先生
(※職場の同僚、先輩)と偶然出会い、一緒に帰る。
 K芝先生の自宅は地下鉄の西神中央にある。地下鉄は板宿から新神戸まで不通のままだから、K芝先生の通勤ルートは六甲山の裏側を使う。自宅からバイクでいったん神戸電鉄の押部谷まで出て、鈴蘭台を経由して谷上へ、そこから北神急行に乗り換えて一気に六甲山を抜けて新神戸に着く、というものだ。
 先生とは新神戸で別れ、僕は歩いて帰る。途中、三宮の様子を見に行く。どのビルも傾いて見える。そのうちまっすぐに歩けなくなる。三宮の手前でフラワーロードを遮るように横倒しになっているビルがあった。今にも崩れてきそうで、怖くて近づけなかった。相変わらず上空をヘリコプターが煩く飛び回っている。
 夜、因幡さんから電話をもらう。因幡さんの声を耳にしたのはいつ以来だろう。メールのやりとりで感じたのとはまた別の懐かしさが込み上げてくる。

 

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①わたしの自宅 ②わたしの職場(南蛮美術館) ③三宮 ④神戸電鉄押部谷駅 ⑤K芝先生の自宅(西神中央) 西神中央駅⇐⇒新神戸駅は神戸市営地下鉄(板宿・新神戸間が不通だった)

 

※神戸市営地下鉄が復旧するまでの約1か月の間、K芝先生はこのルートで通勤されていたらしい(④~⑤の区間はバイクを利用されていた)。

 神戸市営地下鉄は阪神淡路大震災で西神・山手線の施設が被災しましたが、震災翌日の18日に西神中央~板宿間の運転を再開し、全線が営業再開したのは1か月後の2月16日でした。なお、新長田・上沢・三宮の3駅は通過する形での営業再開でした(この3駅は3月末までに再開できました)。

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フラワーロード(神戸市中央区)

 写真左側の白いビルは神戸交通センタービルです。このビルのように中間階が破壊された建物があちらこちらで見られました。座屈倒壊と呼ぶそうです。神戸交通センタービルは、2階から下の部分は大きなダメージがなかったため、3階より上を取り壊して2階の上に8層を積み上げる工法を取って再建されました(2年半後の1997年7月に竣工)。




 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
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イラスト/バリピル宇宙さん (id:uchu5213)