森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

核を手に冬帝気取る裸の王 ~ロシアのウクライナ侵攻;3月5日~3月11日の朝刊見出しまとめ~

2月の終わりからロシアのウクライナ侵略のことを俳句にしています。
といっても、俳句といっていいかどうかというレベルの句ですが😅
その出来不出来は別として、戦争を俳句に詠む是非について考えています。
報道で接する戦争はあくまでも実体験ではありません。
テレビから報じられる情報だけで勝手に想像をふくらませて俳句らしきものを作り上げて、それで一体何になるんだろうと思っています。
目の前には、穏やかな長閑な平和な日本の春があります。
戦争と春と、どちらが本物で、どちらが嘘物なのか、、、そんなことを考え始めると、すぐそこまでやってきたはずの春を素直に喜べない気分に襲われもしているのです。

80年以上前。太平洋戦争直前の頃の話です。
戦争を主題にした戦争俳句というものがあったそうです。
そのなかでも「内地にあって遥かに前線を想い描いた戦争俳句」(『現代俳句辞典』角川書店)のことを戦争想望俳句といったそうです。
日中戦争がはじまった頃(1937年)から数年ほどの間に、新興俳句運動に参加する俳人たちによって優れた戦争俳句が
詠まれました。
ところが、内容は厭戦、反戦色の濃いものがほとんどだったため、脅威を感じた国家権力はこれらの俳人たちに弾圧を加え、わずか三年足らずのうちに戦争想望俳句は終わりを告げてしまいます。
戦争想望俳句は、一方で、こうした外からの弾圧だけでなく、伝統派の俳人たちからも批判を受けます。
実体験に基づくものではなく、想像によって俳句を詠むという手法は、机上で捏ね上げたフィクションであり
「前線の兵士を冒涜する」「俳句を侮辱する」ものだとの批判でした。
正岡子規が唱えたように、写生が俳句であるとすれば、フィクションで詠まれた句は俳句ではない、ということになるのでしょう。

ところで、こうした議論は別として、今回調べているうちに出会った、強く心に響いた戦争俳句を何句かご紹介します。
渡邊白泉という人の俳句です。

戦争が廊下の奥に立つてゐた
繃帯を巻かれ巨大な兵となる
戦場へ手ゆき足ゆき胴ゆけり
夏の海水兵ひとり紛失す
突撃の立ちどまり歩き駆け倒る
天兵は泥土をかぶり寝ず語らず
赤く青く黄いろく黒く戦死せり

渡邊白泉は無季派の俳人として活躍した人です。
の句にも季語はありません。
季語の代わりをしているのが、
戦争という主題です。
季語を使わなくても、情景を説明しなくても、痛いほど戦争という映像が浮かび上がってきます。
数年のうちにこれらの優れた俳句を詠んだ白泉は、1940年に検挙され、戦後は中学、高校の教員として勤め、ほとんど俳壇とは関わらないまま1969年に亡くなっています。

 

 

2022年2月27日(先々週の日曜日)、ウクライナのことを書きました。
そしてその翌日の月曜からのtweet句はウクライナのことを詠みました。
2022年3月16日現在、ロシア軍はまだウクライナへの攻撃を続けています。
下はウクライナ侵攻について先々週と先週に
書いた記事です。

www.keystoneforest.net

 

www.keystoneforest.net

 

前回の記事の続きで、ロシアのウクライナ侵攻について、自分用のmemoとして、この間の新聞朝刊一面の見出し(ウクライナと国際情勢に関係するもの)をまとめています。
なお、日付と見出しは山猫🐾家で購読している産経新聞に拠っています。

 

2022年3月5日(土)
・露 原発を攻撃、制圧 ウクライナ 施設火災、安全性は維持
・民間避難路確保で一致
・北京パラ 戦時下の開幕

2022年3月6日(日)
・露軍攻撃で飛行禁止区域拒否
・原発攻撃 安保理が非難
・中国国防費7.1%増 全人代開幕 強軍路線 鮮明に
・北 弾道ミサイル発射 今年9回目 ロフテッド軌道か

2022年3月7日(月
・停戦歩み寄り困難 ウクライナ侵攻 7日3回目交渉 露軍攻撃激化
・北大東島に移動レーダー 防衛省 中国空母の監視強化

2022年3月8日(火)
・露、核施設また攻撃 ウクライナ侵攻 トルコ仲介 外相会談へ
・列車狙撃 すし詰め24時間 国外脱出150万人超 難民危機

2022年3月9日(水)

・ウクライナ東部に人道回廊 退避始まる
・露、日米欧を非友好国 ルーブルで債務返済
・政府抗議、露に追加制裁
・ウクライナ 日本に対戦車砲要請 法的根拠なく提供見送り
・輸出指針改定し防弾チョッキ提供

2022年3月10日(木)
・ウクライナ侵攻 米、露原油を即日禁輸 追加制裁 英は年内に停止
・チェルノブイリ原発 停電
・米 デジタルドル検討 大統領令、研究を指示
・韓国大統領選 接戦 保革激突 出口調査0.6ポイント差
・日米韓安保 再建へ覚悟を

2022年3月11日(金)
・韓国 保守系・尹氏 大接戦制す 5年ぶり政権交代
・露・ウクライナ 外相会談 停戦進展なし 露軍、産科病院も爆撃

 

 

tweet句は3月7日から3月11日までの句です。

 

核を手に冬帝気取る裸の王

何が正しいか、その正しさの基準に絶対というものはないのです。正しいか正しくないか、間違っているか間違っていないか、それを解決するのが時間だという考えもありますが、その解決というものが訪れるまで、生きて待つことができないほど長い時間がかかるのだとすれば、それは解決と言わないのかもしれません。王様が裸だと数十年後にあきらかになるのだとしたら遅いのです。

 

砲撃にくに追はれ一面の雪

ワインを開けてケーキを食べて、プレゼントを贈り合って過ごしたクリスマスからわずか二か月後。住み慣れた家も思い出もすべてを捨てて、旅行ですら訪れたことがないような隣国に逃げるのです。走って走って命だけを持って逃げるのです。国境まで走り続けて振り返った風景が一面の雪だったとすれば、そこには焼け焦げた街も炎も血も見えない。

 

二〇二二年冬プーチンと記し年表終はれり

ひょっとすれば、終わってしまうのはウクライナの年表かもしれない。いやそんなはずはない。きっとプーチンの年表が終わるはずだ。でも、ほんの少しだけ思います。プーチンが核のボタンに手をかける日がくるとしたら、終わってしまうのは世界史の年表、人間史の年表かもしれない、と。

 

戦場の大統領裸の王を凍らせる

カッコ良い方が絶対の絶対に印象に残る。誰の心にも強く記憶されるし、きっと歴史にも残る。これは勝ち負けの問題じゃない。ルックスの問題でもない。誰にも恥じない行動を徹底的に貫く姿。それがこんなにカッコ良い。裸の王様はそんなこと微塵にも思わなかっただろうけど。

 

プーチンの砲火凍土を解かされず

今回の最初の砲火がウクライナを襲ってから三週間。まだ凍土は解けていません。といっても、楽観はまったく許されません。この先破壊的な状況が訪れる前に、プーチンを止められるのは、おそらく世界の誰でもなくて、プーチン自らでしかない。多くの人がそうであるように、わたしもそう願っています。

 

 

花が咲き誇る様子を目にすると、心が軽くなります。黄色や青やピンクやさまざまな色の花が世界を彩り始めると、心が弾みだすのを抑えられません。ねえ、プーチン。

When we see flowers in bloom, our hearts lighten up. When yellow, blue, pink, and various other colors of flowers begin to color the world, we can't help but feel our heart start to beat. Hey, Putin?

 

f:id:keystoneforest:20220316213652j:plain

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よければtwitterものぞいてみてくださいね。山猫 (@keystoneforest) | Twitter
 

f:id:keystoneforest:20180211232422j:plain

山猫🐾@森の奥へ

似顔絵はバリピル宇宙さん (id:uchu5213)に描いていただきました。