この人はこの夏をどう過ごしたのだろう。
『参加することに意義がある』はずのオリンピックから参加できる競技自体をなくされてしまった上野由岐子選手のことである。
その競技とはもちろんソフトボールだ。
上野は北京オリンピックソフトボールで世界最速のボールを投げる絶対的なエースとして、日本代表に金メダルをもたらした最大の功労者である。
ところが、ロンドンではソフトボールはオリンピック競技から外されてしまう。今回のリオデジャネイロでも状況は変わらなかった。
いくら望んでも、実力があっても、世界最速の121キロのボールを投げても、参加することは不可能だったのだ。
上野は今年5月、日本リーグ史上初の通算200勝まであと1勝としながらそのリーグ戦の最中に左脚を痛めた。当初は軽傷とみられたが、4カ月間実戦から遠ざかることになった。
「年齢的にもそろそろ引退かな」と悩む34歳の上野に聞こえてきたのは、東京オリンピックにソフトボールが復帰するという知らせだった。
「どこかで神様が頑張れと言ってくれてるかな」と、上野は思ったという。
その通り、きっと神様はそう言ってくれているにちがいない。
ソフトボールジャパンカップで9月3日 の対オーストラリア戦に先発した上野は、2回を3三振無失点に抑え、見事な復活を遂げた。
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