森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

防災グッズを点検する 〜阪神淡路大震災から24年

 
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成人の日に続く三連休の3日目、わが家に備えている防災グッズの点検をした。

あの日のことを思う。

今年で24年目。

あの日は三連休明けの火曜日だった。

当時成人の日は1月15日、平成7年はその日が日曜にあたっていたので翌月曜は振替休日、それで三連休だった。

あの連休明けの早朝、わたしはどこか遠くから一気に迫りくる不気味な気配に叩き起こされた。

あとから思うとそれは地鳴りだったのだろう。

揺れより先に音が伝わってきたのだ。

地鳴りの直後、あの揺れがやってきた。

震度7の揺れ。

わたしが当時住んでいた家は、その震度7が直撃した一帯に建っていた。

激しい揺れで家の壁は崩れ、屋根瓦が大きくずれた。

玄関ドアがはずれ、窓ガラスは砕け散った。

成人式に参加するために神戸に帰ってきていた若い人たちもあの地震で亡くなった。

親元を離れて一人暮らしを始めて間もない学生たちが多く住む地域も激しい揺れに襲われ、何人もが犠牲になった。

亡くなった方々の多くは建物や家具類の下敷きになったことによる窒息、圧死であると言う。

 

 

「空を泳ぎたかった魚の話」

成人式の2日後に亡くなった娘さんが、生前に描かれていたパラパラ絵本。崩れ落ちた瓦礫の中から家族の方が見つけ出し、形にされました。

下の記事のリンクをご参照ください。

www.kobe-np.co.jp

防災グッズを用意するのは生き残るため。そして、家族を守るため。

たまたま生き残ったわたしは改めてそれを強く思います。

 

 

さて、

今わたしたちが住んでいる木造二階建の家の階段下収納は防災グッズをおさめる場所になっている。

グッズ類は奥さんが少しずつそろえ、整理してくれている。

スペースは狭いが柱が何本も集中しているので、揺れに対して比較的強い場所であるらしい。

今回はそこにしまっている防災グッズを総点検した。

 

 

以下はわたし個人の備忘録として。

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階段下収納に入っていたのは、

リュックサック4つ

寝袋4枚

長期保存水・アルファ米食品それぞれが入った段ボール箱

荷物を運ぶ台車

カセットコンロ

そのほかあれこれ

家族4人なのでリュックサックと寝袋を4人分ずつ用意している。

 

●リュックサック(奥さん用)

軍手 ティッシュ ビニール袋 メモ帳 サインペン(黒) 小銭が入った財布 除菌用ウェットティッシュ 雨具 防寒防暑用スペースブランケット タオル ラジオ機能付き懐中電灯 単三乾電池2本 着替え(靴下など3日分) カイロ マスク スリッパ 洗面用具(歯磨き粉・歯ブラシ) ボディーソープ シャンプー リンス 薬(ルル・バッファリン・正露丸・ムヒ・絆創膏・リンデロン) 健康食品(マルチビタミン)

*薬類

最低限の救急用セットを入れていたが、薬やビタミン剤にも消費期限があるので時々点検するのを忘れないように。

 

●リュックサック(わたし用)

マスク 充電式乾電池(エボルタ) メモ帳 マジックペン(黒) ゴミ袋 ビニール袋 ティッシュ コンタクトレンズ2日分 除菌用ウェットティッシュ ボディーペーパー(身体を拭けるウェットティッシュ) ガムテープ 軍手 ハンドタオル 着替え(下着類3日分) ラジオ機能付き懐中電灯 単二乾電池4本 使い捨てカイロ 雨具 絆創膏 三角巾 USB充電器 

*USB充電器

単三乾電池でスマホに充電できるもの。家族4人みなそれぞれにスマホを持っている。情報ツールとして懐中電灯として、カメラとして、メモ帳として、今やスマホが動かないと何もできない。

 

●リュックサック(長男M用)

絆創膏 ハンドタオル マジックペン(黒) ビニール袋 ティッシュ 軍手 マスク 歯ブラシ タオル 清潔なガーゼ エマージェンシーブランケット 使い捨てカイロ ゴミ袋 プラスチックのコップ4つ 除菌用ウェットティッシュ サランラップ レジャーシート アルミのレジャーシート トイレットペーパー 雨具 着替え(靴下・下着3日分) グリーンロープ10m分 

*グリーンロープ

まさにサバイバルグッズ。洗濯物を干すときにも使えるし、段差のあるところの上り下りに使ったり、ブルーシートとロープで応急のテントを作ったりもできそう。

 

○リュックサック(次男K用)

ハンドタオル ビニール袋 ティッシュペーパー 爪切り 裁縫用具(ハサミ・糸・安全ピン・針・ボタン) ろうそく・マッチ セロハンテープ ボールペン(黒) ナイフ 着替え(下着・靴下3日分) タオル 歯ブラシ 歯磨き粉 マスク 雨具 軍手 ボディーソープ シャンプー 紙コップ6 食器(プラスチックのスプーン・フォーク) トイレットペーパー ゴミ袋 除菌用ウェットティッシュ エマージェンシーブランケット ボトル入りのウェットティッシュ 使い捨てカイロ 懐中電灯単三乾電池2本 メモ帳 マジックペン(黒) ホイッスル 

*ホイッスル

“ピッピー”と体育の先生なんかが吹くホイッスルも入っていた。家族とはぐれたとき、ひとりで山中に取り残されたりしたときに、これを吹いて合図しろ、と次男Kに言うつもりだったかなぁ。次男Kも高校生になったし、もういらんかなぁ。

 

●そのほか

寝袋4枚 長期保存水1900ミリリットル6本 カート 電気ポット トイレットペーパー6巻き 乾電池単三40本単四16本 湯たんぽ 抗菌伸縮ウォータージャグ10リットル 給水タンク レジャーシート 手指消毒アルコール ライター 食器類(割り箸・紙皿・プラスチック製コップ・スプーン・栓抜き) ガムテープ 水のいらないシャンプー カセットガス アルミホイル ラップ ポリ袋 かんたんトイレ袋 カセットコンロ 金網 ガス台の風除け 

*かんたんトイレ袋(商品名ベンリー袋)

断水時に家庭用トイレなどに取り付けて使用するもの。断水すると水洗トイレは機能しなくなる。阪神淡路大震災の際、公衆トイレは水が出なくて流れず、汚物がたまって異臭を放っていた。

尾籠(びろう)な話になるが、震災のときトイレが流れないと分かっていても、そこで用を足す人が何人もいた。野外でするよりはと、、、

家のトイレなら、どこかに水を用意しておけばそれで流せる。入浴後お風呂のお湯を流さず翌日までそのままにしておくことを習慣にしておけば、緊急時にはそれが使える。バケツで汲んでトイレの貯水タンクまで運べば、トイレはちゃんと流れてくれる。

わが家では、4リットルのペットボトル(わたしが夜な夜なたしなんでいる晩酌用の焼酎が入っていたもの)に水を入れて庭の隅に置いているので、断水すればそれを使うようにしている。普段は、洗濯物干しの支柱が風で倒れないよう固定するのに使っている。野良猫ちゃん対策にもなるかと思ってボトルを何本か並べてみたが、近所の野良猫ちゃんたちは平気でわが家の庭を自分のテリトリーにしている。

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*カセットコンロ

わたしはあの震災の日の夜、割れたガラスや食器類の破片がちらばるキッチンに土足で上がり、冷蔵庫の冷凍室から転がり落ちた凍った豚肉をカセットコンロでそのまま焼いて焼き肉のたれをかけて食べた。

 

●職場の厚生会から支給された防災用品
45リットル分別用ゴミ袋 アルミ蒸着ポリエステルシート(幅105センチ長さ180センチ) ブルーシート(1.8メートル× 1.8メートル) 非常用給水袋3枚 非常用ローソク2本とマッチ(燃焼時間約4時間) 洗濯バサミ2本 救急絆創膏40枚 ハサミ ピンセット 耳かき タオル ソフトガーゼ 滑り止め手袋 レジャーツール(十徳) ラジオ機能付き懐中電灯 伸縮包帯 プラスチックのマグカップ2つ

 

●アルファ米食品(1箱12食分×3箱)
チキンライス・白がゆ・えびピラフ・梅がゆ・松茸ご飯・赤飯・山菜おこわ・ドライカレー・わかめご飯・五目ご飯・白飯・田舎ご飯

*家族4人が1日3食3日間食べていける分として。

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*アルファ米ご飯の作り方(お茶碗大盛り1杯)

①パックの袋を開封して、脱酸素剤とスプーンを袋から取り出す。

*食器を用意してなくても中にスプーンが入っている。

②お湯または水を袋内側の注水線位置(160ml)まだ注ぎ、よくかき混ぜる。

*注水線位置が矢印で示されているが、矢印の先がアルファ米に隠れてよく見えない。なので、よく確かめてから作らないと、注水線の一番上の部分までカップ麺感覚でお湯をなみなみと注いでしまって大失敗ということになりかねない気がする…注ぐお湯または水の分量はご飯は160ml、赤飯は110mlとそれぞれ違うので、説明をよく読んでから作りましょう。

③袋のチャックを閉めて待つ[熱湯で15分、水(15度)の場合は60分]

*100gのアルファ米が出来上がり260gの白飯になる。

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できあがりはちょうど丼鉢1杯分くらい。

水で作ったご飯は食感がなんとなく気になる。

お湯で作る方が美味しそう。

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五目ごはんと赤飯はこんなできあがり。

具材が入ったご飯には使っている材料についてアレルギー表示もされている。

 

*車載インバーター(車から取れる電流を家庭用コンセントで使える電流に変える装置)

乾電池は何本か用意しているが、自動車が動く状態なら車載インバーターから電源をとることもできる。

USBも使える。

普段は、旅行やキャンプに出かける際に使っているもの。

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     * * * * * * * * 

 

何かの災害が起きた際に、今住んでいるこの家がある程度無事だったとして、安全な場所に避難できるまでの3日間をなんとか生き延びる準備がわが家の階段下収納におさまっている。

リュックサックを最初に用意した何年か前、子供たちはまだ2人とも小学生だった。

リュックはわたしと奥さんとが大きいサイズ、子供たちは小さめのものにして、内側に「住所、名前、生年月日、血液型」が奥さんの字で書いてある。

運びやすさを考えてリュックの大きさを決めたのだが、今となっては、子供たちのリュックを大きくしてもっとたくさん運んでもらわないといけないかもしれない。

リュックの荷物は家族4人でまとまって避難することを考えて、重いものはわたしのリュックに、薬類は奥さんのリュックに分担していた。

家族4人まとまって行動してはじめて、必要なものを補完し合うように考えていた。

でも、、、家族4人一緒に行動することが一体いつまでできるだろう。

家族4人そろって食事をする機会さえめっきり減ってしまった今、この先のことを考えると少し心細く思いもする。

 

 

最後に、災害に備えるポイント。

保存食用に準備していたクラッカーが賞味期限を半年ほど過ぎていた。

捨てるのはもったいないので食べることにしたが、そこに、日頃の備えとして、分かりやすくまとめたものが添えられていた。

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・たんすや食器棚などの転倒防止の措置を

・重い物は高い所に置かない

・消火器は火を使う場所の近くに置いておく

・家具の置き場所を工夫して安全なスペースを確保しておく

・床に散らばったガラス片などでケガをしないように、身近に厚手のスリッパを用意、、、(ヤマザキナビスコ株式会社RITZ保存缶より)

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寝室には靴を置いているし、寝るときは、頭部に重い物が落ちてこない場所を選んでいる。

 

 

いくらあれこれ考えても、すべての不安を払拭できるほどの備えができることはない。

そして何より、近年、自然災害が回数や規模を拡大していること、自然災害だけでなく近隣国から忍び寄る新たな危険も現実味を帯びてきていること。

それを考えれば、さらにどのような備えが必要になってくるだろう。

また、いずれ、子供たちが独り立ちして家族が一人二人減っていく将来が来るだろう。

階段下収納におさめられる防災グッズは、わが家の歴史の一つになるのかもしれない、そんな気がした。

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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山猫🐾@森の奥へ

似顔絵はバリピル宇宙さん (id:uchu5213)に描いていただきました。