森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

23年目の1月17日、新月の夜です。新月は地上からは見えない月です。

 
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23年目の1月17日、新月の夜です。

今夜の空を確かめたくて駅から歩いて帰りました。

わたしの家は山の中腹にあり、駅から山を登ります。

駅前にあるバス停には数人の列ができていました。

すぐにバスが来るようです。

ですが、わたしはバス待ちの列に並ばず、歩いて帰ることにしました。

 

朝から降り続いていた雨は夕方近くにあがりました。

湿度が高く暖かい夜です。

駅からの帰り道は六甲の尾根筋をたどります。

尾根筋の東には芦屋から大阪に続く街が見渡せます。

23年目の今夜は新月です。

 

重ね着をしているので暑く感じるほどですが、生暖かく感じるのは歩いたせいばかりではありません。

街中が揺れたあの日からしばらく暖かい日が続いたのを思い出しました。

いえ、本当に暖かかったのか、、、記憶はあいまいです。

ただ寒さを感じなかっただけなのかも知れません。

 

今夜はあまりに暖かい夜です。

 

暖かさは霧を呼びます。

空に霧が湧いています。

霧が大気を満たしています。

街は霧の底にあります。

月も星もないのに、少しも暗さを感じません。

新月が照らしているのではありません。

地上が空を照らしているのです。

 

無数の街灯りが空を照らしていました。

 

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新月は地上からは見えない月です。

見えないけれどもしっかりとそこに浮かんでいる月です。

目に見えなくても存在するものは、、、

 

今夜から新しく始まる、と不意に思いました。

きっと始まります。

 

そう自分に言い聞かせました。

 

 

 

 

 

 

 

  
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