森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

クリスマスイブの雨、今夜サンタを卒業します。

神戸では夕方から雨になりました。

イブの雨となると、どうしても頭にあの名曲のフレーズが聴こえてきます。

♫雨は夜更け過ぎに、雪へと変わるだろう

でも、残念ながら、神戸では深夜も明朝も雪は降りそうにないです。

むしろ、今夜はいつになく暖かいくらいです。

 

さきほど23時を過ぎました。

つい数年前までは、この時刻からが父サンタの出番でした。

チキンやらビーフやらのご馳走を食べた上に、さらにケーキもお腹一杯に詰め込んだ子供たちは、テンションが上がったせいでなかなか寝ようとはしません。

ベッドの支柱にぶら下げようか、机の引き出しにしまっておこうかと算段していた父サンタは、結局子供たちの部屋に忍び込むのはあきらめて、玄関に置いたこともありました。

もちろん、プレゼントの隠し場所のことです。

玄関に置いたときは、今年のサンタは忙しくて部屋にまで行く時間がなかったみたい、大慌てで帰っていったよ、と言い訳しました。

 

10年前のことです。

この年の子供たちのプレゼントのリクエストはゲーム機のWiiで使うFitでした。

バランスボードみたいな台に乗って、体重測定やさまざまなゲームを楽しめます。

ちょうどクリスマスシーズンに合わせて発売されたばかりで、発売直後から大人気の商品でした。

父サンタは休日、市内の家電店やおもちゃ屋さんを探し回りました。

ないないない。

店頭には全くありません。

ネットでも探しました。

ないないない。

どこでも品切れ、入荷待ちの状態でした。

クリスマスの日は刻々と迫ってきます。

夕食のたびに子供たちはFitでどんな遊びができるのか、笑顔で説明してくれます。

ないないない。

とうとうイブの日になりました。

父サンタはFitを紹介するゲーム雑誌を買ってきて、寝静まった子供たちの部屋にそっと置いておきました。

翌朝、雑誌を手にガッカリした表情の子供たちに言い訳しました。

サンタさん、間違ったのかもしれないね、もう一度確認してみるね、と。

翌日もまだFitは入荷せず、わたしはまた子供たちに言い訳をしました。

プレゼントは用意できたらしいけど、トナカイさんが疲れて寝込んだので配達できなかったみたい、と。

こんな苦し紛れの言い訳を何日か続けたと思います。

クリスマスから数日後、ようやくFitが入荷し、父サンタはプレゼントをなんとか届けることができました。

 

この年のクリスマスあたりから、うちの子供たちはサンタクロースの存在に疑問を持ち始めたのではないかと、わたしは思っています。

 

わが家ではプレゼントは中学3年まで、とサンタクロースさんから聞いています。

次男Kは今年中3。

なので父サンタは今夜で卒業です。

 

ちょっぴりさみしいイブです。

 

メリークリスマス!

 

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