ある休日の朝。
私は朝帰りをしました。
とても気持ちのいい朝でしたので、最寄の駅から自宅まで歩いて帰ることにしました。
自宅は大阪湾を望む、ある山中にあります。ですので、最寄駅から自宅までの移動手段を、普通の人はこれを歩くとは表現せず、登ると言うのかも知れません。
平日の朝は、私は自宅から駅まで歩いて出勤します。約15分くらいの道のりです。
適度な運動になる、という利点もありますが、最大の理由は自宅の近隣住民たちの移動の足である市バスがまだ走っていない時間帯に出勤するから、というところにあります。
ところで、冒頭に書いた朝帰りですが、何か怪しげなトラブルが発生したわけではありません。前夜、大切な用件があって知人の家に宿泊していただけであります。
話を戻します。
平日の帰宅の際はタイミングよく乗ることができれば市バスを使います。バスを待つ時間が長いようだと歩いて(登って)帰ります。
ということですので、歩きなれた(登りなれた)道ではありました。
が、いつもの帰宅時は日も落ちた後なので道々の景色を楽しむ余裕はありません。
こんな初夏の緑がまぶしい季節に歩いて(登って)帰宅しない手はないぞ、と私は思ったわけです。運動にもなるし。
そして、ただ歩く(登る)だけじゃなくて、この道のりが一体どれくらい標高差があるのか調べてみよう、とも私は思ったわけです。
iPhoneで写真を撮ると、どこで撮ったものかという情報も記録されている、という知識を聞きかじっていました。
この位置情報を使えば、写真から標高を求めることができるに違いない。
果たしてそれで正しい標高が求められるのかどうか、いまいち自信はありませんが、以下、それが正しいとして、今回の調査をまとめてみたいと思います。
手順は、
①iPhoneの写真をパソコンにコピーする
②写真のプロパティを調べる
③プロパティ→詳細→GPS緯度経度高度
④③の高度を標高として記録する
です。
スタート地点は、自宅最寄り駅。高度51.295mでした。
スタート地点周辺はよくある私鉄駅の風景ですので写真はありません。
以下の写真は自宅までの道々で撮影したものです。
駅から歩き始めてしばらくはゆるやかな坂道です。次の写真の地点までは、「歩く」という表現を使っても差し支えないと思います。
いよいよこの写真の辺りから、「道」は「坂」になります。
路面に丸い窪みがありますが、これは冬の凍結時、降雪時の滑り止めです。この地点からどんどん傾斜はきつくなっていきます。
写真の上のほうに人影が見えますが、あの辺りが一番の難所です。
まっすぐ前を見てもどれくらいの斜面なのか分かりづらいと思いますので、道に面した石垣を撮っています。
道なりに歩く(登る)のがつらくなるほど急な傾斜です。
この辺りでは、前向きにではなく、後ろ歩きで歩いて(登って)いる人を時々みかけます。後ろ歩きとは、つまり坂の下の方向を向いて後ろ歩きで坂を登っていく歩き方です。この歩き方を真似たことはありませんが、前向きに登るより楽なのかもしれません。
この後ろ歩きは、高齢の方がよくされています。私は今のところまだそれほどではありません。
かなり歩き(登り)ました。
写真は歩いてきた(登ってきた)駅方面を振り返って撮ったものです。街が霞んで見えるのは黄砂のせいでしょうか。
晴れていれば、その先に大阪湾が見えるはずです。
後ろ歩きのほかにもう一つ、時々見かける歩き方があります。
真っ直ぐにではなくジグザグに歩く方法です。これは登りの際にも下りの際にも見かけます。歩く距離が長くはなりますが、傾斜はかなり楽になります。
下りの際にこの歩き方を使うのは、真っ直ぐに下っていくと、どんどん加速がついて、ついには前につんのめって転んでしまう危険性があるからでしょうか。
高齢の方だけでなく、若い女性の方もこの歩き方をされているようです。
やっと急な坂道を歩き(登り)きりました。
ちょうど自宅までの中間地点辺りです。道の東側が開けて大阪方面が見渡せます。
朝の太陽が昇ってくる時間帯と空気がすんだ日の夜景が見ごたえがあります。
出勤時は朝陽を見て清々しい気分になり、帰宅時は夜景を見て疲れを癒します。たまに、ですが。
この地点の高度は115.618mでした。
標高差64.323m。経過時間は約10分。これ以上速く歩く(登る)と、息が切れます。
そして、さらに歩く(登る)こと約8分。自宅到着です。
写真は自宅の庭です。
5月7日の記事で紹介したベビーリーフの薹(とう)が立っています。
高度は172.520mでした。
最寄り駅からの標高差は121.225m。所要時間は約18分でした。
そして、何一つ後ろめたいものがない私は、額ににじんだ汗を軽くぬぐって一息つき、堂々と元気よく家人に帰宅を告げました。