森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

夜道でイノシシと出会ったら

自宅まであと10メートルほど。すぐその先の角を曲がれば家の外灯が見えてくる。というところでイノシシに出会った。

夜8時。月明かりがそいつの背中をほのかに照らしていた。

家の前は私道になっていて道幅は車1台がやっと通れるくらい。イノシシとすれ違うには狭すぎる。

自宅は山の中腹にあってこういうシチュエーションはとりわけ珍しいことではなかった。

が、困ったな。今来た道を引き返して反対側から家に帰ろうとすると5分はよけいに歩かないといけない。

足を止めて見つめ合う。それほど大柄ではないけど柴犬よりは遥かに大きい。さらに見つめ合う両者。

相手のイノシシにしても、回り道をしたくない事情があるようだ。

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 荷物を下げているとそれを狙ってくるという。

荷物は背中のリュックと歩いているうちに暑くなって脱いだライトダウン。

手に持っていたライトダウンを丸めて胸の前に抱え直した。

すれ違うしかない、と決めた。

相手も無駄な争いは好まないはず。

何事もなかったようにすれ違える気がした。

そして前に出る。

 

イノシシは後ずさり、あっさりと来た方へ向きを変えて歩き出した。

その後姿は少し痩せて見えた。

そいつは数メートル歩いて、こちらを振り返る。

僕は丸めて持っていたダウンを右手に持ち替え、力一杯自分の体をそれではたいた

乾いた大きな音がした。

それが合図のようにそいつは暗闇の中に走り去る。僕はやっと玄関に着いた。

 

 

ちなみに、夜道でイノシシと出会ったときの正しい対処法はこんなかんじかな。

 

1.まずは、イノシシに要らない敵対心を与えないように「何もしない」が大原則。

威嚇したり、驚かせたりしない。むやみに興奮させると危険。

この人間は危害を加えそうにないな、と思わせるのがもっとも重要。

 

2.すぐに逃げず、後ずさりしながら、なるべくゆっくりと距離を取る。

そして、イノシシとの距離が取れる場所までたどり着いたら、急いで逃げる。

 

3.逃げる余裕がないときは、少しでも高いところを探してその上に乗る。

いざとなったら木に登る。そして、安全な場所に避難してでイノシシが立ち去るまでやり過ごす。

 

4.イノシシは大きなものを見ると逃げるので、目の前に傘を広げるのが効果的ともいう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  
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