ドラマ『IQ246』最終話のクライマックスシーン。
法門寺沙羅駆とマリアT、二人は自分たちの対決の行方を運に任せることにして、毒薬のカプセルを1錠1錠飲んでいく。
一人で死ぬつもりのマリアTは死に場所を求めている。マリアTの考えを察した法門寺は毒薬を2つにしようと提案する。これは、道連れになってもいいよ、という意思表示だろう。
マリアTは「私はいいわよ。あなたが望むなら」とこたえる。
そして、カプセルを飲み進めながら二人の会話が続く。
マリアTは、全てをゼロにして新しい世界を作ることが目的だったと言う。そして「大義の前に多少の犠牲はつきものよ」とうそぶく。
法門寺
それを認めるわけにはいかないな。和藤奏子は死にたくないと言った。その人の意思を無視して奪うことは、悪だ。すなわち君は悪だ。マリアT私とあなたは似た者同士だと思っていたのに。残念だわ。周囲の愚かな人間のせいね。法門寺確かに人間は愚かだ。何度でも失敗する。が、同時に成長もする。昨日できなかったことが今日できることもある。私は君には勝てないのかもしれない。単純にIQのことだけを考えれば私の負けだ。が、私には仲間がいる。一人一人は凡人かもしれないが、集まればIQ300にも立ち向かえる力になる。
「その人の意思を無視して奪うことが悪」
法門寺沙羅駆の定義はいたってシンプルだ。どんな理由があってもそれを破ってはいけない。この定義こそが善と悪との間に明確な境界を引く。
そして、残ったカプセルは3錠となった。互いに1錠ずつとって相手の前に置く。3錠のうち2錠は毒薬だから、二人のうちどちらかが、あるいは両方が毒薬を口にすることになる。
二人は最後の会話を交わす。
マリアT
最後に一つだけ質問してもいい?この世界に未来はあると思う?
法門寺この世界はいいところも、君の言うように悪いところもある。だが、あきらめれば未来は終わる。必要なのはあきらめずに考え続けること。マリアT凡人がいくら考えても無駄だわ。法門寺凡人の一歩は小さな一歩かもしれないが、前を向く一歩であればそれでいい。全ての人間に考える価値があり、その違いが豊かな価値観や感性を生む。人間の可能性を否定する君の考え方は醜い。醜悪至極なり。君はずっと一人で生きてきた。もし誰かを信頼できれば君の人生も違っていたんではないか。人は一人では生きられない。マリアT甘いわね。私は、そんな言葉に丸め込まれないわよ。法門寺では、仕方ない。
そして二人は同時に錠剤を飲みこむ。
緊迫感に溢れていてとてもとてもおもしろい場面だった。
ただ、このドラマの第2話で同じシチュエーションを使っていたのがなんと言っても悔やまれる。残念だったなぁ。
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