森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

2017-01-01から1年間の記事一覧

ターニャ (創作短編小説)

誰もが彼女に魅せられていた。透き通るような白い肌、水色の瞳、腰まで伸びた栗色の髪、そして笑顔、澄んだ心が滲みでてくるように感じられる……。 もちろん俺の好みだ。社員総会の社長の話など誰の耳にも届いてはいない。東欧の新興独立国であるラトバニア共…

願いを叶える天使と悪魔。南の島の怒りん坊の王様。 (創作超短編小説2編)

願いを叶える天使と悪魔。 すべてに絶望し、自らの命を絶とうとしている男がいた。 そこに、天使が現れて言った。 「ひとつだけ、あなたの願いを叶えてあげましょう」 男は答えた。 「俺に夢をくれ」 天使がウインクすると男には夢が生まれた。 夢は男に生き…

猫次郎と亀太郎。猫は平和を感じる。

次男Kの話です。 彼も大の猫好きです。あ、私も。 いろいろ事情があって本物の猫が飼えないので、セブンイレブンのくじ引きで当てたピカチュウのぬいぐるみで代用しています。あ、違った。ピカチュウは猫じゃなかったですね。 どうして猫が好き?と訊くと、…

魔法の鏡。 (創作短編小説)

魔法の鏡。 古道具屋で俺は一枚の鏡を買った。 店の隅に隠すように置いてある、タータンチェック柄の布が掛けられた妙なものに俺は気がついた。布をめくってみると古ぼけた鏡が現れた。 「気をつけなよ」と背後から声がした。鏡には、不釣合いなほど高い値札…

「閻魔様と百万回死んだ男。」「礼儀正しい社会の作り方。」 (創作超短編小説2編)

閻魔様と百万回死んだ男。 一人の男が死んだ。 その魂は亡骸から抜け出て閻魔様のところへ飛んでいった。 閻魔様は男の魂をしげしげ眺めると意外なことを言った。 「お前は特別に選ばれた魂だ。これから何度死んでも、別の生き物になって蘇らせてやろう」 「…

薬売りの口上。 (創作短編小説)

夜店の屋台が続く一番奥で、道端に広げた敷物の上に大小さまざまな小瓶を並べて、とうとうと口上を述べている者がおります。 大方の者は相手にせず行き過ぎておりますが、時折足を止めてそれに聞き入る酔狂な者もおります。 あなたもちょっと寄っていかれま…

鳥よけネットで守り抜いたブルーベリーでチーズケーキを作る。

わが家の庭には、花や野菜や実のなる木、ならない木などが雑多に育ってます。ん? 実がならない木ってあるのかな?ここで言ったのは、食べられる実、という意味です。 もともとは、庭の半分は奥さんが花を植え(観賞用)、もう半分は私が実のなる野菜や木を…

ずっとバレーボールをしていたい。 バレーバスケ部最終章2

「バレーバスケ部最終章1」の続きです。 前回分はこちらです。 www.keystoneforest.net 長男のMが中学校のバレー部で最初に与えられたポジションはセッターでした。身長がさほど高いわけではないMにとって、また滅多に感情を昂ぶらせることがない落ち着い…

森の奥へ2 ブログ1年を振り返って

「森の奥へ」の最初の記事を投稿したのは1年前の8月7日でした。今日はブログをこの1年間続けてきた足跡を振り返ってみますね。 仕事柄、夏は比較的時間の余裕があります。2年前の夏はPowerPointで簡単なアニメーションを作る方法を勉強しました。 そし…

ずっとバレーボールをしていたい。 バレーバスケ部最終章1

長男のMは高校3年生。男子バレーボール部キャプテンです。 6月のインターハイ県予選は3回戦で敗れました。 が、バレーには春高があります。春高が高校バレーの頂点を決める大会です。春高県大会出場を目指して、この夏、まだ練習を続けています。 手前味…

日常と非日常。                         

私は阪神淡路大震災を経験した一人です。 あの大震災はほんの数日のうちに何百、何千と言う人の命を奪いました。 あの日の後も、大災害が日本や世界を繰り返し襲っています。地域紛争という名の戦争も止みません。 人が一生のうちでたった一度でも経験するか…

山猫@森の奥へ プロフィールにかえて

長男Mは高校3年生。 バレーボール部に所属しています。インターハイは終わりましたが、まだ部活動を継続しています。バレーバスケ部は春高県大会出場を目指して最終章に突入しています。近々詳細を記事にする予定です。www.keystoneforest.net 次男Kは中…

ふるさとの夢を見て、笑って目を覚ます。

下のリンクは前回の記事です。 www.keystoneforest.net アラン・ワッツのメッセージを耳にして、私は夢を追わない生き方を選んだ自分を悔いました。 お金ではなく夢を追うもう一つの別の生き方があったのかもしれない、と思い、どうしようもない後悔の念にか…

もしもお金が存在しなかったら やりたいことは何ですか?  ~Alan Wattsの言葉より~

twitterのリンクをたどっていった先にこんな映像を見つけました。 哲学者アラン・ワッツの言葉をマルチクリエイター山下歩さんがツイートされた映像です。 いま人類が聞くべきスピーチ pic.twitter.com/CvqWotra3E — 山下歩 (@ayumu822) July 17, 2017 t.co …

梅雨明け間近の橿原神宮と深田池、箸墓古墳と箸中大池。そして、卑弥呼と「ひめみこ」。

中国の歴史書『魏志倭人伝』に記載されている邪馬台国の場所や卑弥呼という人物についてはいくつも学説があり、日本古代史上の大きな謎となっています。 小学生のころ将来は考古学者になりたいと思っていたくらい、私は歴史が大好きでした。真剣に研究したわ…

天才マジシャンになりたい (創作短編小説)

【お題】「もしも魔法が使えたら」で書いたエピソードのひとつは、私が高校生だった頃に書いたお話を下敷きにしました。 www.keystoneforest.net 高校生の頃、私は将来小説家になることを夢に見、同じく漫画家になることを夢に見ていた友人Sと一緒に、手書…

線状降水帯と特殊詐欺とカマキリと。

各地に酷い雨が降った一週間でした。 「ゲリラ豪雨」という言葉が流行語大賞ベスト10に入ったのが2008年だそうです。2013年には気象庁が「警報」のさらに一段階上に「(大雨)特別警報」という区分を設けてその運用を始めました。今回の豪雨では「…

インゲンはちらし寿司の具に、大根はキムチ漬けにしました。

インゲンの収穫とホタルブクロの花。の記事の続きです。 www.keystoneforest.net もう二度とホタルブクロは抜かない、と固く決心したこの日、実は、インゲンの隣で作っている大根も収穫したのでした。 大根の栽培と収穫の経緯については過去記事で触れたので…

インゲンの収穫とホタルブクロの花。

日が長くなりました。それでも、仕事を終えて帰宅する頃には、外はとっぷりと日が暮れて、辺りは暗くなっています。ですので、庭の畑の手入れは週末にまとめてしています。 手入れと言っても、雑草を抜いたりトマトの脇芽を摘んだり追肥をしたり、という程度…

自家製イカ肝(いかわた)の醤油漬けを試食してみました。残りはルイベにして食べてみます。

イカ肝(いかわた)の醤油漬けです。 前回の記事の最後で少し紹介しました。 www.keystoneforest.net 出来上がった、と思います。 見た目はあまり優れません。でも、匂いは焦げた醤油の香り。生臭くはありません。長さは6cmくらいです。 作り方です。今回…

大根といんげんの観察日誌と自給自足サラダ、大根とベビーリーフを収穫しました。

梅雨入りした途端の好天続きです。この暑い日ざしが野菜たちを一気に大きく育ててくれました。 庭の畑にいんげんと大根の種をまいたのは5月7日でした。 www.keystoneforest.net いんげんは50日、大根は60日で収穫できる、と種の袋に書いてありました。…

もしも魔法が使えたら

今週のお題「もしも魔法が使えたら」 もしも魔法が使えたら、 僕は魔法でスマホを操り、世界中のママたちに、赤ちゃんをスヤスヤ眠らせる、呪文の言葉をメールするでしょう。 もしも魔法が使えたら、 私はそれを誰にも言いません。絶対不可能な奇跡を起こす…

プロポーズ (創作短編小説)

彼は迷っていた。困っていた。悩んでいた。 あれこれ思い悩んで眠れない日が続いていた。 ガールフレンドのAikoになんとか自分の想いを伝えたいのだけど、一体どう言えばいいだろう。 彼が伝えたいのは、つまり、彼女と結婚したい、という想いだ。ここ数日、…

土鍋で釜飯を炊く。かなわなかった父とのサシ飲み。

「釜飯」という言葉の響きに、郷愁と食欲がいやおうなく誘われます。 もともと、炊き込みご飯や混ぜご飯が好きなのです。カレーや炒飯、お茶漬けも好きです。生卵を落としてみたり、ふりかけや海苔をかけてみたり、味のついたご飯ならなんでもいいのかもしれ…

良薬 (創作短編小説)

良薬は口に苦し。 つまり、よく効くクスリは不味い。だから我慢して飲め。ということでしょうか。 昔の人の言葉だと思います。こんな無茶苦茶なことをよく平気で言っておられたものです。 最近では医療が発達し、一方で医薬品のPR戦争もいよいよ激しさを増…

次男Kの卓球の試合と、言い間違い・聞き間違いについて。

先日の土曜日(6月10日)、中学生の次男Kの区総合体育大会(区総体)が行われました。 Kは卓球部所属で、シングルスと団体戦に出場しました。 今回の試合会場は区内にある中学校の体育館でした。中学校の体育館よりもっと広い○○アリーナにも観戦に行っ…

入梅前の大阪湾朝景、昼景、夜景。

次男Kは、毎週日曜日の午前中、空手教室に通っています。 教室が開かれている公民館まで、距離はそれほどありませんが、標高170mにあるわが家からさらに少し山を登らないといけません。以前、私の家族は4人全員で空手教室に通っていた時期があり、その…

バレーバスケ部最後の試合。と、これからのこと。

バレーバスケ部最後の試合。前回の続きです。 kwww.keystoneforest.net 県予選2戦目の対戦校は、県上位の常連校。部員の数がやたらと多いです。前回の記事の中で、人数の多さと強さとは関係ない。みたいなことを書きましたが、間違っていたかもしれません…

バレーバスケ部最後の試合。~6月、バレーボール部高校総体県予選~

6月3日、長男Mがキャプテンを務めるバレーボール部の高校総体県予選がありました。 実は、Mはバスケットボール部と兼部して所属し、バレーバスケ部として活動してきました。 そのバレーバスケ部の活動の詳細については、以前に記事を書きましたので、時…

子供の頃、わらほうきでホタル狩りをした。

今朝の午前7時過ぎのことです。 職場近くの公園をのんびり歩いていると、おじいちゃんに声をかけられました。 天気が良くて気分も良くて、そのまま出勤するのがもったいなくて、公園の中に設けられたビオトープに沿った遊歩道を歩いていたときのことでした…