森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

バレーバスケ部奮戦記 1

春高バレーの地区予選が始まっている。 春高というと、春の甲子園とイメージがダブルが、春休みに行われる大会ではない。 新春の方の春だ。だからぎりぎり3年生が出場できる。 現在の正式名称は「全日本バレーボール高等学校選手権大会」、「春高バレー」は…

美しくなければ、体操は曲芸と変わらない

去年の梅雨のある朝、腰に激痛を感じた。顔を洗おうとして洗面台で前屈みの姿勢をとったときだった。 決して年甲斐もなく、張り切って重い荷物を持とうとしたわけではない。 以前から何度か腰に違和感を感じたことがあったし、その症状についても人から聞か…

山猫ノート 6

1983年当時のヒットチャートから Men At Work/Down Under Eurythmics/Sweet Dreams Culture Club/Do You Really Want To Hurt Me Dexy's Midnight Runners/Come on Eileen David Bowie/Let's Dance TOTO/Africa Pretenders/Back On The Chain Gang Styx/…

山猫ノート 5

アリに食べられた焼き肉レタスのその後である。 芽出しした苗(?)はまだたくさん残っていた。それをもう少し育ててから植え替えることにした。 スーパーで売っている卵10個が収納できるプラスティックのパックに土を詰め、それに苗を植え替えて育てた。 …

絆で走る、パラリンピックマラソン 道下美里

リオデジャネイロ・パラリンピックの陸上男女マラソンは視覚障害クラスと車いすクラスが行われた。このうち、初めて実施された視覚障害の女子で道下美里選手が銀メダルを獲得した。 視覚障害男子は岡村正広選手が銅メダル、車いす女子は土田和歌子選手が4位…

ポジティブに今を生きよう 君の名は。/新海誠

「君の名は。」を観た。原作・脚本・監督は新海誠。 9月22日現在、公開28日間で観客動員774万人、興行収入100億円を超えたという。 これまで、宮崎駿作品以外に100億円を超えた邦画アニメーション作品は他にない。 ちなみに、その宮崎作品は、…

バドミントン山口茜、奥原希望 準々決勝対決再び

9月23日、バドミントンの国際大会「ジャパン・オープン」で準々決勝が行われ、女子シングルスで山口茜選手と奥原希望選手が対戦した。 リオデジャネイロオリンピック準々決勝の再戦である。 オリンピック準々決勝で、これまで一度も奥原からゲームを奪っ…

ベイカー茉秋の柔道

柔道男子90キロ級は日本柔道の空白地帯とも言われ、これまで金メダルを獲っていない階級だ。リオデジャネイロオリンピックのこの階級でベイカー茉秋選手は初出場にして見事に金メダルを獲得した。 ところがベイカーの決勝戦での戦いぶりを、柔道でなくJUDO…

ブレードジャンパー、マルクス・レーム選手のオリンピック

ドイツのマルクス・レーム選手は右脚に義足をつけて跳ぶ「ブレード・ジャンパー」の異名を持つ陸上競技選手だ。種目は走り幅跳び。 レームは2015年の障害者陸上世界選手権走り幅跳びで、8m40cmの障害者世界記録を出した。これはロンドンオリンピックの優…

リオデジャネイロ、陸上男子1500mの記録の謎

以下は、リオデジャネイロオリンピック陸上競技男子1500m決勝の結果である。 1位;マシュー・セントロウィッツ・ジュニア(アメリカ) 3分50秒002位;タウフィク・マフルーフィ(アルジェリア) 3分50秒113位;ニック・ウィリス(ニュージーランド)…

もうひとつのオリンピック、ナタリア・パルティカ4連覇

リオデジャネイロオリンピック卓球女子団体1回戦、日本の対戦相手はポーランドだった。 福原愛・伊藤美誠ペアの試合を観ていて気づいた。相手ペアの一人の選手に右肘から先がないことに。 その選手の名前はナタリア・パルティカ選手。オリンピックに続いて…

柔道女子松本薫、連覇ならず

柔道女子57キロ級世界ランキング1位で臨んだ前回のロンドンオリンピック、松本薫選手は柔道男女を通じて日本勢唯一の金メダルを獲得した。 今回は世界ランキング6位。連覇を目指して出場したリオデジャネイロオリンピックだったが、準決勝で敗れ松本は銅…

奥原希望のセルフトーク

コートに入るとき、胸にバドミントンのラケットを当てて左手で押さえ、奥原希望選手は何かつぶやいた。そして最後に一言、気合を入れるように口が動き、両手を体側におろして深々と一礼した。 「まずはこの舞台に立てることに感謝して、思いっきり楽しもう」…

山猫ノート 4

焼き肉レタス(チシャ、サンチュともいう)を庭の畑に植えた。 この夏、隣家から三度豆の種(三度豆)をもらって蒔いたらそれほど世話をしなくてもすくすく育ち、けっこうな量が採れた。それで味をしめた山猫は今度は焼き肉レタスを種から育てることにした。…

山猫ノート 3

動物園に行ってきた。 平日の園内は思ったより混んでいた。 子供たち。引率の先生。子供を連れたママ。障害者のグループ。高校生くらいの年代のグループもいた。笑顔があふれていた。 象舎の前に子供たちが集まっていた。象が鼻を持ち上げると、子供たちが歓…

山猫ノート 2

『野音』を読み返してみると、「'83 4 4」と最初のページの右肩に書いてある。 そうか、だから始めたのか。思い出した。 83年4月、山猫は肩書を失った。当時はフリーターなどという言葉はまだなかった。が、その月のはじめから、まさにそのフリーターとし…

山猫ノート 1

台風がまた週末の日本列島を襲うようだ。豪雨の頭にゲリラが付き、台風にはスーパーが付き、気候は確実に変わってきている。 山猫は昔、ガリ版でプリントを印刷したことがある。青焼きのコピーで仲間内の会報を作ったこともある。やがて、白く焼ける普通のコ…

錦織圭の雄叫び

「日本のために頑張るというのは、すごく心地いいというか、楽しかった」 オリンピック3度目の挑戦でついにメダルを獲得した錦織圭選手は笑顔でこう語った。 リオデジャネイロオリンピック、テニス男子シングルス3位決定戦で錦織はスペインのラファエル・ナ…

男泣き、井上康生

人目をはばからず泣いていた。 井上康生が泣いていた。 どれほどの重圧だっただろうか、言葉は彼の思いを言い表すにはあまりに薄っぺらい。 それでも、井上康生は言葉を紡いだ。選手たちへの感謝の思いを口にした。 「4年前のロンドンでは屈辱の涙を流した…

リオデジャネイロオリンピック競泳男子400m個人メドレー

小学校の頃からのライバルだと言う。 競泳男子400m個人メドレー金メダルの萩野公介選手と銅メダル瀬戸大也選手。 ゴール直後、二人は互いの健闘を讃え、プールでハグをした。印象的なシーンだった。 そして、プールから上がってからの二人の安心した表情…

引き際なんて、いらない。

今回のリオデジャネイロオリンピック日本選手団の最年長者は46歳、桝井俊樹選手だった。法華津寛選手と同じく馬術競技への出場である。 同じく馬術では、40歳の杉谷泰造選手が日本人過去最多となる6大会連続の出場を果たしているが、これは、1996年…

東京から東京へ。人馬一体、法華津寛選手。

騎手と馬とが一つになったかのような、なだらかで巧みな乗馬を「人馬一体」という。 日本人最年長のオリンピック選手、法華津寛選手とその愛馬との結びつきはまさに「人馬一体」そのものだ。 法華津は、2008年の北京オリンピックに愛馬ウィスパー号とペ…

アメリカに勝った日。男子400mリレー決勝。

8月20日朝、テレビを食い入るように観た。 リオデジャネイロオリンピック男子400mリレー決勝、3コースアメリカ、4コースジャマイカ、そして5コースが日本。第一走者は山縣亮太選手だった。 第二走者飯塚翔太選手、第三走者桐生祥秀選手、そしてア…

バーベルにハグ。重量挙げ三宅宏実選手

重量挙げ女子48キロ級、メダルをかけてジャーク3回目の試技に挑む三宅宏実選手のバーベルの重さは107キロ。 リオデジャネイロ到着後、三宅は持病の腰痛を悪化させ、痛み止めの注射を射ってこの日を迎えていた。 これを失敗すればもう後はない。 バーベ…

上野由岐子の夏

この人はこの夏をどう過ごしたのだろう。 『参加することに意義がある』はずのオリンピックから参加できる競技自体をなくされてしまった上野由岐子選手のことである。 その競技とはもちろんソフトボールだ。 上野は北京オリンピックソフトボールで世界最速の…

過酷すぎる50km競歩、荒井広宙選手銅メダル

荒井広宙選手が銅メダルを獲得した50km競歩は、オリンピック、世界陸上とも男子にしかない。 ちなみに、オリンピックでは、男子は20kmと50kmがあるが、女子は20kmだけである。 理由はその過酷さにある。 一層過激な表現だが、生まれてきたことを後悔…

フェンシング太田雄貴選手の引き際

フェンシング男子フルーレ個人の太田雄貴選手は、リオデジャネイロオリンピックの初戦で敗れ、試合後に現役引退を表明した。 敗れた相手は世界ランキング2位の太田よりもはるかに格下(66位)の地元ブラジル、ギレルミ・トルド選手だった。試合が決した瞬…

競泳松田丈志選手の引き際

リオデジャネイロオリンピックの競泳男子800mリレーで銅メダルに輝いた松田丈志選手が9月2日宮崎県知事を表敬訪問し、同月9日から開催される岩手国体に宮崎県代表選手として出場するのを最後に、現役を引退することを表明した。 松田は故郷・宮崎県延…

レスリング吉田沙保里選手の引き際

リオデジャネイロオリンピック女子レスリング53㎏級決勝、吉田沙保里はヘレン・マルーリス選手に逆転負けを喫した。その時、吉田の連勝記録は世界大会16連覇、個人戦206連勝でストップした。 3歳の時、自宅道場で父の指導のもと始めたレスリングを吉…

内村航平を好きなのは審判だけじゃない

体操男子個人総合は内村航平選手の最後の鉄棒演技による執念の逆転劇で幕を下ろした。内村の個人総合連覇の瞬間だった。 試合後、一人の外国人男性記者から内村に少し皮肉な質問が飛んだ。 「あなたは審判に好かれているから良い得点が取れると感じています…