森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

「ミンチ肉のレタス包み」を作る。誰が作っても絶対に美味しくできるはず。

炒め終えたばかりでまだ温かさが残るミンチ肉をシャキシャキのレタスに包んでガブリと頬張ります。

うま!

と、奥さんや子供たちが声を上げてくれると、それだけでご馳走を食べた気分になります。

この「うま!」を聞きたいのが料理を作る最大の理由でしょうか。

 

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今日は春休み最終日。久しぶりに料理したい気分が身体中に沸き起こってきました。

いつもは冷蔵庫を覗き、残っている野菜類の消費も兼ねてメニューを考えますが、今日は作りたい料理がありました。

ミンチ肉のレタス包みです。

実は、職場の同僚・後輩何人かを食事に招き、私の手料理を食べてもらう計画がありました。

いつだったか、趣味は料理、と自己紹介したのを覚えられていて、一度食べてみたい、とねだられたのでした。まあ、それを口実に飲み会をしたい、ということでしょうけど、なんとも勇気のある同僚たちです。

暖かくなってきたことだし、庭でバーベキューするのもいいし、部屋で手巻き寿司にしてもいいかな、と気軽に考えていました。

ところが、大きな問題がありました。とてもとても大きな問題です。

後輩の一人の女性が過度の偏食なのです。

魚も肉も駄目とのことでした。別に菜食主義者でもないし、カロリー摂取量を気にしているわけでもないようです。

 

彼女がまだ幼かった頃、キッチンに置いたボウルの中に水が張ってあり、中にはたくさんのアサリが入っていたそうです。

アサリたちが貝から舌を出して元気よく水を噴射している様子はとても可愛らしくて、彼女は愛着を覚えたようです。そして、このアサリたちを水槽に移し替えて飼う準備をしているんだ。とまで思ってしまったみたいです。

 指で突っついたり、ひっくり返したりしてアサリたちが驚くのを見て、彼女はますますアサリたちのことを可愛く思ったのに違いありません。

が、その日の夕食にアサリのお吸い物が出てきたのは言うまでもありません。

それ以来、彼女の人生は大きく変わってしまった、ということです。

 

訊いてみると、生きているときの姿を想像できると食べられなくなる、という返事でした。

では、ミンチ肉を使えばいい。と、思いついたわけです。

ミンチ肉のレタス包みは、私の得意料理の一つです。でも、しばらく作っていなかったので、今夜は久しぶりに挑戦してみる気になりました。

この料理をはじめて作ったときは、材料を千切りやみじん切りにするのにまだ慣れていなくて、ずいぶん苦労した記憶があります。

その分、一口頬張って「うま!」と言ってもらったときの喜びはひとしおでした。

料理のキモは下ごしらえにあり、とそのとき私は悟ったのでした。

 

で、レシピです。

今夜は作り置きの分も含めて、7,8人分作りました。

《材料》

合挽きミンチ肉 600g   たけのこの水煮 200g  干ししいたけ  8枚分程度  白ねぎ 2本

*つけ合わせ用に、きゅうりの千切りとか人参ナムルとかも用意しました。

 

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《タレ》

水 大さじ6  鶏がらスープの素 小さじ2  オイスターソース 小さじ4  しょうゆ 大さじ4  味噌 大さじ4  ごま油 小さじ2  酒 大さじ2  しょうが(チューブ) 小さじ1/2  砂糖 大さじ2  胡椒 少々  片栗粉 小さじ2

*全部混ぜ合わせておく

《作り方》

①たけのこ、白ねぎはみじん切りに、干ししいたけはお湯で戻した後みじん切りにする。

②ミンチ肉をフライパンで炒める(パラパラになるくらいまで)。

③たけのこ、しいたけの順に加えて炒める。 

④タレを混ぜてもう少し炒める。

⑤白ねぎを加えて混ぜる。

出来上がり!

 

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レタス包みにしなくても、炒めたミンチ肉をそのままご飯にかけて食べてもとても美味しいです。

何度か作りましたが、実は一番最初に作ったときが一番美味しくできた気がします。

そのときの家族たちの「うま!」が今も耳に残っています。

 

 

 

 

 

 

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