森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

街の歌が聴こえてきて

佐野元春の『SOMEDAY』が好きだ。

その昔、スナックでカラオケを歌うとき、有線にリクエストして曲を予約した。曲がかかるまでしばらく待たなければいけなかった。どこか別のスナックで誰かが歌っているはずのカラオケを聴きながら。

♫ 街の歌が聴こえてきて 真夜中に恋を抱きしめたあのころ ♬

リズム感に欠ける山猫は、この歌い出しのタイミングをいつもしくじった。それでも、繰り返し歌った。あの頃から何度も何度も歌った。

♬ いつかは誰でも愛の謎が解けて 一人きりじゃいられなくなる
Oh Darlin` そんな気持ちにゆれてしまうのは 君のせいかもしれないんだぜ ♫

一番好きなのはこのフレーズだ。

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山猫が「森の奥へ」というブログを書き始めた一番の目的は、旅の記憶を綴ることだった。いろんな人といろんな場所に行ったが、一番書きたかったのは2016年夏の家族旅行の記憶だ。

家族みんなでそろって旅をすることがこれから先、一体何回あるだろう。上の子供は高校2年になった。そろそろ家族旅行になど付き合ってくれなくなる年頃だろう。それどころか、もう数年すれば家から出て行ってしまうかもしれない。だから、ひょっとしてこの夏の旅が家族みんなで行く最後になるかもしれなかった。そう思うと、どうしてもそれを書き残しておきたくなった。

2016年夏、初めて子供たち(下の子は中学2年)と鉄道の旅をした。在来線を使い、神戸から東京までを約10時間かけて行った。宿泊先は、浅草近くのワンルームマンションのような狭い部屋。そこに子供たちと3人で3泊した。ずっと以前から知っているような既視感を覚える気安い下町だった。部屋にも風呂はあったが、近くの銭湯を使った。その部屋から都営バスで山手線まで通って東京の街を散策した。

めざしたのは東京擬似生活だった。

 

 

 

 

 

 

 

  
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