森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

2017-08-15から1日間の記事一覧

薬売りの口上。 (創作短編小説)

夜店の屋台が続く一番奥で、道端に広げた敷物の上に大小さまざまな小瓶を並べて、とうとうと口上を述べている者がおります。 大方の者は相手にせず行き過ぎておりますが、時折足を止めてそれに聞き入る酔狂な者もおります。 あなたもちょっと寄っていかれま…