森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

2017-05-26から1日間の記事一覧

我が家のクスリ箱 (創作短編小説)

えっとクスリ、クスリ・・・ 「ねえ和子。クスリ箱どこにあるのー」 久しぶりの病気だった。 頭が割れそうに痛い。そして胃が重い。心臓の鼓動がこめかみを切り刻んでいる。体を動かすたびに、頭の芯に釘を打ち込まれるような激痛が走る。生唾が口の中に広が…