森の奥へ

街の喧騒に惹かれて森を出た山猫はいつの間にかずいぶんと歳をとった。いつかもう一度故郷の森の奥へ帰りたいと鳴くようになる。でも、街の暮らしはなかなか捨てられるものじゃない。仕方ないから部屋の壁紙だけ森の色に染めてみた。

2017-05-06から1日間の記事一覧

眩暈 めまい。 (創作短編小説)

電車が駅に着く。ガタリと体が揺れて私は目を覚ました。少し寝ぼけている私はゆっくりとあたりを見回した。酔客で一杯だった車内はいつの間にかひっそりとしている。この車両には私しか乗っていないようだ。 電車の扉が静かに開く。冷えた夜の風とアルコール…